どうして仕事が速い人は教えるのが苦手なのか?

どうして仕事が速い人は教えるのが苦手なのか?

どうして仕事が速い人は教えるのが苦手なのか?

  

どうして仕事ができる人は教えるのが下手なのか?

こんにちは!
ペットライフクリエイター獣医師MicVet です。
小動物臨床6年,ペットフードメーカなどで約1500件の動物病院を担当,動物病院スタッフ向けに毎日がちょっと楽しくなる情報発信中です。

このブログでは認知心理学から仕事が速い人ほど教えるのが下手説について考察します。

今回参考にした本はこちら
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論

良ければこちらの記事も御覧ください。
新人動物看護師1年目あるある5つ

   

速すぎた処方

  

速すぎた処方

  

動物病院で働いていたときのこと

新人動物看護師さんが不満げに訴えかけてきました。

  

私猫飼ってるんですけどその子が最近風邪をひいたみたいなんです。

A先生に相談してこの薬を処方してもらったんですが

病気の本に書いてあるのと違う薬だったのでどうしてこの薬なんですか?って聞いたら

「この薬がいい」と言うだけで教えてくれないんです。

  

その手には「猫の病気」と書かれた分厚い本と1つの薬瓶が握られています。

  

薬と本

  

新人看護師さんが握っていた薬瓶をみてすぐに察しがつきました。

そしかして,その風邪っぽいコってまだ赤ちゃん猫?

そうです!
先週保護した子で、ようやく,800gになりました!
どうしてわかったんですか?

 

その本にのってる薬は子猫にあげると副作用が強いんです。
それにまだお乳飲んでるなら錠剤の薬よりもこの薬の方が飲ませやすいです。
A先生はおそらく猫にとっても動物看護する方にとっても一番いい薬を処方してくれたんだと思いますよ。

  

A先生,そこまで考えてくれてたんですか!?
あまりにも即答だったから適当に言われたと思っちゃいました。

  

(いや、それはないでしょ)

  

認知と3つのレベル

  

認知と3つのレベル

  

認知科学者のノーマン先生は人間の認知と処理について3つのレベルがあると説いています。

その3つのレベルとは

本能レベル
行動レベル
内省的レベル

の3つです。

  

本能レベル

最も基本的なレベルの処理
意識的な気付きや制御なしにすばやく無意識な反応

例)大きな音が突然響いたのですぐに逃げた。
※本能的に危険を察知してパッと体が動かせる

  

行動レベル

行動と分析の大部分は無意識だが
適切なパターンに合う状況によって引き起こされる学習された反応

例) くすりを漢字にすると「薬」と書ける
※漢字練習を重ねることでスラスラ書けるようになる

  

内省レベル

ものごとが起こった後に行われ深く,ゆっくりしており熟慮,振り返り,推論から状況と行為と結果を評価する意識的な意思決定による反応

例) 本当にこの人と結婚しても良いのかすごく悩む
※過去の経験や友人の話を振り返り,1年後5年後を予想するなどの熟慮

  

どうして仕事が速い人は教えるのが苦手なのか?

  

どうして仕事ができる人は教えるのが下手なのか?

謎を解くひとつのヒントが認知レベルです。

頭が切れる人,頭の回転が速い人,経験豊富なベテランでは認知レベルが違うからです。

だれもが最初は内省レベルから知識を得ます。

内省レベルでの学習は教科書や参考書,本に書かれている内容を理解することから始まります。

そして,忘れたり思い出したり,もう一度調べ直したり繰り返し学習することで内省レベルの知識から行動レベルの知識に変化します。

このように自分の知識として落とし込むことで無意識に知識を使う事ができるようになります。

この無意識に知識を使うことができる行動レベルになると知識を言葉で表現することが難しくなるのです。

知識が体に馴染むほど言葉で解説することが難しくなり

こんな感じ。

になってしまうのです。

説明する言葉を考える必要がないくらい知識を体に染み込ませている状態

それが行動レベルの認知なのです。

  

  

誤解と認知レベル

  

誤解と認知レベル

  

A先生の知識は行動レベルまで高められていました。

新人動物看護師さんが持っていた分厚い「猫の病気」と書かれた本の内容

動物薬理学,動物微生物学,猫の解剖学,動物伝染病学などなど

加えて長年経験してきた何百,何千と経験してきた動物の患者情報です。

知識は既に行動レベルとなっているので瞬間的に最適な薬の処方が行われたのです。

判断があまりに瞬間的だったために新人動物看護師さんは適当に処方されたと誤解をしました。

  

一方、新人動物看護師さんの知識は内省レベルでした。

「猫の病気」と書かれた分厚い本がなければ病態把握が困難な状態。

そしてたった1回の薬の処方を決めるために
動物薬理学,動物微生物学,猫の解剖学,動物伝染病学など多くの知識が必要なことまで予測できていませんでした。

何百,何千もの症例を見てきた経験豊かな獣医師A先生にとっては薬を処方した経緯を新人動物看護師に1から説明するのはとてつもなく大きな負担に感じたことでしょう。

もしかしたら
新人とはいえ動物看護学を勉強をしてきたのならそれくらいわかると誤解をしていたのかもしれません。

  

奥深い認知科学の入門書

  

奥深い認知科学の入門書

親日家でもあるD.A.ノーマン先生の認知科学入門書です。

・引くべきドアを押してしまった。
・水を出そうとしたのにお湯を出してしまった。
・自動扉だと思ったら手動だった。

こんな誰しも一度は経験したことのある勘違いや思い込み。
その原因は認知レベルにあるのかもしれません。

著者のノーマン先生自身も旅行先のホテルで水を流すことができない洗面台に戸惑った体験を紹介しています。

認知のデザインの視点から見るといつもの世界に新しいなにかを見ることができます。

  

  

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
明日もあさってもわくわくするような素敵な体験がありますように。

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