動物病院の残業と診療時間外料金

こんにちは!
ペットライフクリエイター獣医師MicVet です。
小動物臨床6年,ペットフードメーカなどで約1500件の動物病院を担当,動物病院スタッフ向けに毎日がちょっと楽しくなる情報発信中です。
このブログでは動物病院の残業と診療時間外料金について考察します。
動物病院の診療時間外診療と残業

最近では24時間365日診療している動物病院が一昔前までよりも増えてきましたがまだまだ少ないのが現状です。
急に具合の悪くなったペットのために動物病院の診療時間外にも対応してくれる動物病院が近くにあると心強いです。
しかし,中には
・診療時間中は混んでるから終わってそうな時間を見計らってきた。
・昼に来ようと思ってたんだけど出るのが遅くなっちゃって・・・。
などなど
確信犯?と思えるような患者さんが来院することもありますよね。
動物病院という特殊なお仕事を選んだとはいえ急な予定変更に振り回されてしまい負担がかかります。
そこでこんな事を考えたことはありませんか?
時間外料金を高い値段に設定することで緊急性の低い時間外診療を防ぐことができるのではないか。
1998年経済学者のウリ・ニーズィー先生とアルド・ルスチーニ先生も同じ様に考え実験をしました。
時間外料金はない方がいい!?

実験の舞台は保育園です。
ハイファの保育園は夕方4時までに子供を迎えに来ない親のために当番表を作って最後の親が迎えに来るまで残っていました。
幼稚園のスタッフは本音を言えば残業は嫌だったけど,それも仕事のうちだと自分を納得させていました。
そこで
2件の保育園を対象に
お迎えに10分以上遅れたら罰金(日本円で300円ほど)を科す
というものです。
この金額は当時のベビーシッターを雇うための時給よりもずっと安いものでしたが,これまでタダだったものが有料になるという意味ではインパクトがありました。
そして罰金制度のない4件の保育園とお迎え時間の変化を比べました。
するとどうでしょう。
罰金制度を設けた保育園でお迎えに遅れる親の数が増えたのです。
数週間後には罰金制度を作る前と比べてお迎え時間に遅れる親の数が倍になりました。
罰金制度が有料サービスに

罰金制度を設けた保育園の意図はお金を徴収することでお迎え時間を守るようにしてほしいという狙いがあったのにも関わらず,まったく逆のことが起きてしまったのです。
実験を行った2人の経済学者はこのように考察しています。
罰金が取り入れられる前は残業してくれたスタッフの好意に甘える気持ちがあったが罰金制度によって有料サービスという認識に変わったのではないか。
罰金ではなく,お迎え時間を延長するための追加料金という認識になってしまったということです。
動物病院の時間外料金は慎重に

時間外診療をするべきか否か
時間外料金をいただくか,もらわないか
その動物病院の施設や地域によって選ぶべき選択肢はそれぞれです。
もしあなたの動物病院で時間外診療についてお考えならその料金設定はもちろん導入するかどうかもじっくり考える必要があります。
参考書
今回参考にした本はこちら
お金の使い方もらい方ついて私達がいかに知識不足かがわかる一冊です。
この記事が面白いと感じたらこちらの本も読んでみてください。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
明日も素敵な1日をお過ごしください。